ベルギー・オランダ自転車旅行環境     2005813

 

1、   道は水辺に沿って平坦

緑が多く視野が広い水辺。このこころ休まる景観を見ながら自転車が漕げるところだ。
   

   水辺といっても、川でなく運河が流れているところを行く。運河が流れている場所は、川が流れているところより、さらに、凹凸が少ないと言いたい訳だ。この地では水の上十センくらいを道路が走っていたりする。
それで水準器で測ったように平坦なのだ。

面白いのは、運河の水面のすぐ下に家があったり、さらには、海面より下に広大な牧場が広がっていたりする。

訪れる中世に町だったところは、運河が縦横に走っている。交易で町が栄えたところだから、各家に水辺からの運送ルートを確保している。今でもこの運河と共に人々が生活しているところを行く。

この平坦さというものは、60キロといえども、なんとなく漕いでいる内に着いてしまうという感覚がある。この楽チンコースを、誰でもが、やってみたいと思うだろう。

 

2、   自転車専用道路の充実度

  人々の自転車の利用度は相当なものだ。

   町の中では多くの自転車が走っていて、自転車で混雑していると感じるところもある。自動車も走っているところに線引きしただけの、自転車道路も多くある。人口が密集?したところを行くので、日本の感覚と似ているかもしれない。しかし、日本は道路に自転車専用の線引きをするほど余裕がないが、オランダでは何とかできている。

郊外に出ると、自転車専用道路が、町を中心にくもの巣状に張り巡らされている。大都市以外レジャーが少ないので、レジャー設備という意味合いで、自転車専用道路が整備されているようだ。

ベルギーは、オランダほどは町から町への自転車専用道路は整備されていない。今回ブルッセルからメッへレン、メッへレンからゲントまでは”日本と同じじゃねーか”と感じた。

オランダでは町から町へほぼ一直線で繋がっていて、苦労は少なかった。自転車専用道路の方向指標も十分なだけあった。

 

3、   町が多いので走りにくい。

平坦で整備が行き届いているから、自転車旅行者にとって、世界一走りやすいところとはいえない。

   この理由は人口密度が高いため、町が次々と現れるためだ。広大な牧場あり耕作地ありで景観は良い。しかし、これが長続きしない。すぐ次の町に入っていく。自転車旅行で面倒なのは、町に入っていくことことと、町から出て行くことである。町に入ったとたんにどこを走っているか分からなくなり不安に駆られる。町を出るときも、道を間違いやすい。この場合
10万分の1くらいの地図では役に立たない。贅沢だが5万分の一が必要だが、それでも町の人々に聞きながら行く。

サイクリングで快適なのは“朝に町を出て、次に泊まる町に着くまで、ひたすら一本道であること”と申し上げておこう。・・・と断言できるのも、今迄行ったドイツ、オーストラリア、キューバではそんな一本道を走っていたので・・・。



 

4、サイクリング専用の地図は手に入る。

  
   地図は必須だ。オランダ全土をカバーした五万分の一のサイクリング専用地図を、
観光案内所で手に入れて使った。10万分の一の地図も一部使ったが、町が多く道路が入り乱れているから、十万分の一の地図だと分からなくなってしまうことが多々あった。

 

5、主要な駅には自転車屋がある。


     構内と思しきところないし、駅前に自転車屋がある。日本では見かけない4、5人の従業員がいる規模の大きなもので、駅前の自転車置場の規模と、この自転車屋を見ると、自転車王国を実感する。タイヤの空気は、従業員が空気圧を見ながら入れてくれて無料だ。

 

6、自転車の鍵は、幅広の鋼鉄ベルトであるべし

旅行の途中で自転車を盗られるのは避けたいから、念のために自転車の鍵を買いに自転車屋に行った。薦めてくれたのは巨大な2キロほどもある鋼鉄ベルトだ。西部劇で肩から被いている銃弾ベルトを想像する。


   荷物の何分の一かを占めるような重いものは、これから500キロも走ろうとするのに、持って行けない。薦められたものより、すこし軽いものを買うことにした。それでも3000円ほどはした。

ただし、アムステルダムやロッテルダム等の大都市に行くなら、この巨大ベルトでないと、あっという間に自転車が無くなると警告された。なるほど、田舎町でさえ駐輪している多くの自転車がこの巨大鋼鉄ベルトで繋がれていた。

 



7、中古自転車は100ユーロから200ユーロである。


   駅前の自転車屋には整備された中古自転車がこんな値段で数十台並んでいた。道路が平坦だから、多少効率が悪くても、こんな自転車で旅行が楽しめるかもしれない。帰るときに売ってくれば良いから安上がり。

ただし、実用一点張りのデザイン、日本人ならこんなダサい自転車に乗れるかというだろう。考えるに、みんな乗っているから大丈夫。

 

 

8、電車へは自転車を持ち込める。


特急のユーロであろうと電車に自転車がそのまま持ち込める。ただ、6ユーロの持ち込み料が必要なため、駅や電車が自転車で混雑している様子はない。これラッキー。

 

9、泊まりはB&Bが良い

   今回7月のハイシーズンの旅であったが、町に着くのが午後四時過ぎであって、それから観光案内所に飛び込んでも、快適といえるホテルかB&Bに泊まっていた。B&Bは自転車で町の中心から5分か10分掛かるがホテルよりずっと良い。ホテルの相場は70euroで、きれいなところに泊まれるが、B&Bの相場は35euroで時にホテルより良いと感じさせところに泊まれる。

   徒歩旅行では町の中心に泊まらざるを得ない。その人々が歩いては行くことの出来ない静かで環境が良く、B&Bに泊まれるのは、自転車旅行のメリットだ。

10、天候  

    7月といえども、気温は23度から13度位だった。上った時で25度ほどだ。日本の夏は自転車で走
れないが、ヨーロッパの夏は自転車旅行には最適温度だ。ヨーロッパの内陸部はもう少し暑いだろう。実際ド
イツの7、8月の自転車旅行では暑いと感じた。   


    4週間の旅行の内2週間は、雨が一日降っていたり、すこし降ったりした。雨の中はとても走る気にな
らない。雨が降りそうな日に、同宿の自転車旅行のグループに"雨は困るよね"と言ったら、"雨は問題でな
い。問題があるとすれば雨具だろう。"と切り返された。そうして、グループは次の町に雨の降りそうな中を出
発して行った。日本人よりもヨーロッパの人々のほうが、雨には慣れているかもしれない。それだけ雨が多いと
いうことで、雨具は必須だ。