Toru Sasaki`s Gallery




 サンミグエルデアジェンデの印象


雲ひとつない高原の青空がある。
山の斜めのスロープに銀山の富で作った町がある。
二百年の時間を越えた町並みがある。
そんな一つの教会と五つの広場そして百の建物がある。

ゆるやかな坂にすり切れ光った黒い石畳
赤白青黄に彩られた四角い建物
これらの家の前はこの石畳がへこんでいる。
長い間、人々が往来をした証しだ。


ソカロの前の教会


町の真中。ピンク色の教会が鐘を鳴らす。
大きなレンコンを五本ほど縦に並べたようだ。
メキシコのピンクの石は古くぼやけはしない。
教会の塀に 真っ赤なブーゲンベリアの
大きな花房が一房。七メートル

教会の裏のブーゲンベリア

教会の前の公園は、低めに密に刈り込んで濃緑のブロック。
朝は日向で、昼は日陰のベンチにすわり、人々が憩う。
いくつもの鋳物のベンチに人々がすわるが、いつもの空きもある。
異なる国の人々同士が距離を置くが、人のいる心地よさで集まる。

白人で年配のカナダ人が新聞を読む。
日焼けしてエネルギッシュな若者がじゃれあう。
カラフルな衣装を際立たせる先住民。深い彫りで寡黙。
色黒で頑丈な母親が黒い大きな瞳で子供を追う

この公園で一人の白人が私に言った。
この町は道を歩いているだけでは美しさは見えません。
家々のあの汚れた塀の中に入って御覧なさい
この人に付いて隠された中庭を求めて立ち上がる。

ありふれた建物の入口から二歩三歩。
そして中庭。 乾いたエンジ色の壁に絡みつく深緑の蔦
赤色の燃え上がるブーゲンベリア
人の住むだろう四角い窓。

塀の内側が美しい